
1970年に創業し、55年の歴史を持つワールド化成株式会社は、建材、インフラ、環境、貿易、電子デバイス、eスポーツビジネスなど多岐にわたる分野で事業を展開。国内外のネットワークを活用して、多様な製品やサービスを提供しています。
同社が長年培ってきた業務プロセスの中には、属人化や非効率といった課題が存在していました。その解消に向けて、2021年より全社的なDX推進と業務改革を開始。その一環として導入されたのが、ジャスミー株式会社の「Jasmy Secure PC」でした。PC管理体制と従業員の意識改革を推進する取締役COOの川尻祐彦様、管理部の中谷様にお話を伺いました。
導入以前の課題
- PC管理体制が未整備であり、OSの更新・利用状況を把握できずセキュリティリスクに懸念があった
- 業務が担当者の“自己流”に依存するなど属人化していた
- 情報システム部などの専門部署がないなかで、PCを管理できる環境を求めていた
「Jasmy Secure PC」導入後の効果
- PCの一元管理により、OS更新漏れの予防につながった
- 情報システム部など専門部署がないなかでも、直感的なUIでセキュリティ強化の体制を整えられた
- DX推進や社内ルールの統一など、属人化解消の土台整備に寄与した
創業55年の老舗商社の挑戦―「属人化」「管理不在」の変革
――川尻様と中谷様の役割について教えてください。
ワールド化成 川尻様(以下、川尻):
私は2021年頃に入社し、現在は役員として営業部門・管理部門の責任者を務めています。営業部門ではすべての事業を取りまとめつつ、私自身も海外メーカーのPOS端末の代理店営業を行っています。管理部門では総務、人事、財務関連の業務も担当しています。
またワールド化成に入社以降、約4年間にわたり社内の業務改善に取り組んできました。
ワールド化成 中谷様(以下、中谷):
私は主に、社内で導入しているシステムの運用管理を担当しています。ワークフローシステムなどの初期設定や日々の運用の他、トラブルが発生した際の窓口となり、ベンダーと連携して解決にあたるといった業務が中心です。
――川尻様はワールド化成様の業務改善を行っているとのことですが、どのような課題があるのでしょうか?
川尻:
入社してまず感じたのは、「セルフルール」が非常に多いということです。業務プロセスが正式なルールとして浸透しているのではなく、担当者個人に依存したやり方が常態化していました。そのため、それぞれの仕事の最適解について、誰に聞けば正解なのか分からない場面が多々あったのです。
例えば、特定のお客様の受注情報が、担当者のパソコンにしか保存されていないという場面もありました。担当者が社内にいなければ、当然業務が進みません。受発注業務も、業務を標準化・効率化すれば今の半分の人員で十分こなせるという状態でした。販売管理も適切に行われているとはいえず、逆ざやになっている取引もあったほどです。
老舗の企業だからこそ、長年培われてきた仕事のやり方がそのままにされていたことが大きな原因だったのでしょう。一刻も早く、この状況を根本から変えていかなければと強く感じました。
取締役COO 川尻祐彦様
積極的なITツールの導入のなか、「Jasmy Secure PC」を選んだ3つの理由
――具体的にどのような対策に乗り出したのですか?
川尻:
ITインフラや業務プロセスの管理体制を整備するところから始めました。入社当初、会社から貸与したPCのOSが最新版にアップデートされているか把握できないほか、業務時間中のPCの利用状況を正確に把握できずにいました。
まずは、社内の情報共有とコミュニケーションを円滑にするため、グループウェアを導入しました。その他、顧客管理システムや販売管理システムも刷新し、請求書発行も紙から電子データに移行しています。こうした活動と並行して、受発注業務を担当していた中谷にシステム管理の専任担当者になってもらいました。
――川尻様が入社されてから、属人化の排除やIT管理体制の整備など、本格的な改革が始まったわけですね。活動の一環として「Jasmy Secure PC」を導入いただいたのだと思いますが、その経緯について教えていただけますか?
川尻:
先ほど触れたように、貸与しているPCの管理が全くできていなかった点は、社内でも大きな課題でした。2022年4月には個人情報保護法が改正されて、情報漏洩時のペナルティが厳しくなりました。セキュリティ対策やコンプライアンスの観点からも、従業員が使うPCをきちんと管理・把握する体制は必須だと考えたのです。
中谷:
導入にあたり、私のほうでPCの利用監視システムの候補をいくつか選び資料請求をしていました。
川尻:
その過程で、長年親交のあった関係者様から「Jasmy Secure PC」を紹介されました。
――ご紹介を通じて川尻様とお話しさせていただく際、ワールド化成様の状況や課題感を伺う中で、「Jasmy Secure PC」がお役に立てるのではないかと考えました。実際に、他社のツールも検討していた中で「Jasmy Secure PC」を選んでくださった決め手は何だったのでしょうか?
中谷:
私の中で一番大きかったのは「分かりやすさ」です。私はシステム管理の専門家ではないため、多機能で複雑なサービスよりも直感的に操作できるサービスがよいなと考えていました。その点、「Jasmy Secure PC」の親しみやすいUIには非常に好感を持ちました。
管理部 中谷様
川尻:
お試し期間があることも導入を後押ししてくれました。実際に使ってみて、自分たちの環境や運用に合うかどうかを確認したかったからです。加えてコスト面でも魅力を感じ、2023年に「Jasmy Secure PC」を導入したのです。
導入の壁を越えた先に生まれた従業員の意識の変化
――「Jasmy Secure PC」を導入するにあたって、ハードルや苦労した点はありますか?
中谷:
大きな混乱はありませんでしたが、一部の従業員からは「監視システムを導入するんですか?」という動揺が見られました。
川尻:
管理者側としてはPCの管理やセキュリティ強化が目的ですが、従業員から見ればどうしても「監視」という言葉に敏感になってしまうのは、仕方ないと思います。
従業員に対しては、なぜこのツールが必要なのかを丁寧に説明していきました。個人情報保護法の改正や情報漏洩リスクに触れ、社内のセキュリティ・管理体制を一新していくことを周知していったのです。それに合わせて、会社から貸与しているPCの適切な運用ルールも定めていきました。
――導入目的を明確に伝え、従業員の理解を促したのですね。導入してから約2年が経過しましたが、どのような変化や成果を感じていますか?
中谷:
管理画面から各PCのOSがちゃんとアップデートされているかなどを一覧で確認できるので、以前のようにバージョンアップが放置されることはなくなりました。基本的なことかもしれませんが、管理側としては大きな一歩だと思っています。
また、従業員の意識の変化をすごく感じます。「Jasmy Secure PC」導入以前は、肌感覚として仕事とは関係のない時間を過ごしている従業員が多い印象でした。業務とは無関係の雑談を、必要以上に長く続けているような状態でしたが、そうした光景が明らかに減った気がします。
PCが適切に利用されているか、月1回ほどの頻度で全従業員のアクセスログを確認していますが、業務とは関係のないサイトを閲覧していたり、他の用途で使用していると思しきログはありません。悪い意味での“ゆるさ”がなくなり、よい意味での“緊張感”が生まれたと感じます。

――ツール導入が従業員の意識改革にもつながったのですね。運用面での「Jasmy Secure PC」の使い勝手はいかがですか?
中谷:
設定や操作が複雑ではない点は非常に助かっています。ITなどの専門知識がなくても直感的に使えるので、日々の運用がとても楽です。導入後も安定してシステム稼働してくれているので、運用負荷も高くありません。
専門家がいない組織のPC管理・セキュリティ対策を助けてくれるシステム
――「Jasmy Secure PC」を利用していただいた経験から、このサービスはどのような企業様におすすめだと感じますか?
川尻:
弊社のように、専門の情報システム部門がなく、システムの運用管理を他の業務の担当者が兼任しているような中小企業には、非常におすすめできると思います。
中谷:
私も同意見です。専門知識がなくても管理・運用ができるという点が、「Jasmy Secure PC」の一番のメリットだと感じています。情報システムの専任担当者を用意する規模ではないけれど、PC管理やセキュリティ対策はしっかり行いたい。そう考えている中小企業さんには、「Jasmy Secure PC」はすごくフィットするのではないでしょうか。
操作がシンプルで分かりやすいので、PC管理の第一歩を踏み出すには最適なツールだと思います。

川尻:
あと、従業員のPC利用状況をきちんと把握したい、業務に集中できる環境を作りたいと考えている会社にもよいと思います。ログ機能などで状況を可視化できるのは、管理する側にとっても、従業員の意識を変えるきっかけとしても有効だと感じています。
――ありがとうございます。ワールド化成様は川尻様主導のもと、今後も業務効率化や生産性向上を進めていくことと思いますが、今後の展望や目標について教えてください。
川尻:
継続的な改善として、メールの誤送信防止ツールなど、セキュリティ強化やさらなる効率化にも引き続き取り組んでいきます。
その先にある目標は「属人化の解消」です。DX推進のおかげで、紙の書類の管理コストが大幅に削減され、一部の従業員に依存するようなセルフルールもかなり減りました。4年間の取り組みの結果、会社全体で業務改善を進めるという意識が浸透し、関係者同士で協議してルール化するというプロセスも定着しつつあります。
現在は、受発注部門でジョブローテーションなども行うなどして、属人化の排除に向けて着実に進んでいる実感はあります。最終的には部署や役割に関わらず、「誰でもワールド化成の仕事ができる」状態を目指したいです。将来的には営業担当者がバックオフィス業務の一部を担えるなど、より柔軟な体制を構築していきたいですね。
――会社全体の業務標準化と多能工化をより推し進めていくのですね。
川尻:
それに加えて、「働き方の柔軟性」も組織改革の大きなテーマとしています。わかりやすい部分ではリモートワークの導入などです。ネットワーク環境などを整備して、台風などの天災時、無理に出社しなくても自宅で安全に仕事ができる環境を従業員に提供したいなと。極端な話ですが、オフィスがなくても業務が遂行できる体制が理想です。
――非常にチャレンジングですが、とてもワクワクする未来像ですね。
中谷:
会社がどんどん変わっていく過程で、新たな技術やシステムが今後も導入されると思います。その知識を吸収してシステムを安定的に運用していくことで、従業員の皆さんが業務に集中できる環境を作る。それが私の目標であり、会社への貢献だと考えています。
